「なんだかんだ、みどあおのことムカつくことあったし。幼なじみが多いんか男友達が多いんか知らんけどさぁ、人の好きな人横から取るなんて最低じゃし」
「またみど言いよるわぁ。その話何回も聞いたっちゅーの!」
「だってムカつくんじゃもんっ!あんなんただの男好きじゃし。国仲さん達にもハブられればいいんじゃって」

「みどひどーっ」と、笑い声がおこる。
笑い声?何で笑ってるの?

頭の中で今のみんなの話がぐるぐると回る。回って、酔って、気持ち悪い。


『あおちゃん、手伝うよ』



…信じてみたかった。

変わらないものもあるって、信じてみたかった。


でもそんなの、やっぱり綺麗事だった。


みんなの笑い声がくぐもって聞こえる。

スポンジの泡が、洗ったお皿が、昔の笑顔が、楽しかった思い出が。


全部、一気に、塗りつぶされた。



…何かが弾けて切れた様に、あたしは手に力を入れた。
思い切りドアを開ける。

ガラッと一際大きな音が、学校中に響いた気がした。

それとは逆に、音楽室の空気が固まる。
机に座っているみんなの目が、瞬きを忘れる。