「どうしたんこれ」

小さな可愛らしいペンギンを撫でて言った。
自然と頬が緩む。

「売店、混む前に買ったんじゃ。やる」
「は?あたしに?」
「あぁ。ほら、」

驚いているあたしの前に、垣枝はもうひとつペンギンを取り出した。
二匹のペンギンが、二人の掌に。

「女子はお揃いが好きじゃけぇの。友達同士、あっこでもよぅけ買いよるじゃあ」

ひひっと笑って、垣枝は言った。
そこであたしは、垣枝の言いたいことがわかった。


『ずっと友達でおって』


昨日の夜のあたしの願い。

彼は、それを実行してくれてるんだ。

不器用だけど、なんだかとても嬉しくて。


とても、愛しくて。


「…ありがと」
「無くすなよ」
「無くさんっちゃ!」

いつも通りのやりとりを繰り返しながら、あたしは掌のペンギンを見つめた。

小さな小さなぬいぐるみだけど、その温かさはとても大きい。

来てよかった。
心から、そう思えた。