ヌックは一仕事終えると冬将軍の城に戻ってきていた。


「おかえりなさい」

「おかえりなさい」


「ただいま、あいつは静かにしてるかぃ?」


そうヌックが尋ねたのは日下部さんの子分の雪だるまたち。
A、B、C、D、E……無限に近い数がわらわら現れる。
まるでミニ●ラのようだ。

「あいつ溶けてたなぁ」

「親分なら気合いで溶けないのに」

「ハートが違うからなぁ」
「根性がなぁ」

「暑がりだからなぁ」

「ストーブたいたからなぁ」

「ラーメンくわしたけんねぇ」

「あ、耳をすませば見せた」

「熱いなー」

「熱いなー」

「あの告白シーンみたらこっちが熱いなー」

「俺ひとりで丘の上から告白したしなー」


「…お前らちょっと集まりすぎ」


ヌックの周りは小さな雪だるまが敷き詰めあい、今にも合体しそうな程ぎゅうぎゅうしていた。





『ヌック』