…いや、ただ単に、クジ運が悪かっただけだろう。

せめてもの救いは、窓際で後ろの席ってことだろう。

教卓の目の前だけは、さすがのアタシもカンベンだ。

「なぁなぁ、オレ、教科書忘れたんだ。見せてくれよ」

朗らかな笑顔で言ってくるアイツに、殺意少々。

…高校生にもなって、教科書忘れるか? フツー。

「…はい、どうぞ」

机の真ん中に教科書を置いて、見せる。

ここで断ったら、アタシ自身の評判が悪くなる。

「さんきゅー!」

悪い人ではない。

明るくて素直で、純粋。

…アタシには無いものを持っている男の子。

だからイラつくのかな?