「あ・・・・・」

翌日、学校が終わり一旦家で着替えてから『ヴァンパイアハウス』へ行くと、店には千尋さんだけではなくもう1人、茶髪の背の高い男の人がいた・・・・・。

「あー、来た来た。唯菜ちゃん、この人、店長の宮田さん」

千尋さんの言葉に、あたしは慌てて頭を下げる。

「あの、はじめまして、崎本唯菜です」

顔を上げると、そこにはにこやかに微笑む端正な顔立ちの人。

お兄ちゃんや千尋さんとはまた違う、大人の雰囲気を持った人だった。

「よろしく。オーナーから話は聞いてるよ。僕の名前は宮田一樹。店では『一樹』で通ってるから、そう呼んでね」

「はい、よろしくお願いします」

もう一度頭を下げると、一樹さんがくすりと笑う。

「そんなにかしこまらないで。店長って言っても俺もホールに出ればただのホストだし、千尋と変わんないから」

その言葉に、千尋さんがゲッと目を見開く。

「何言ってんすか!俺と一樹さんじゃまるっきり違いますって!」

「お前も、客が着いてヴァンパイアに昇格しただろ?もう俺らとおんなじだよ。早く凛斗を追い抜けるようにがんばんな」

にやりと笑う一樹さんに、げんなりとする千尋さん。

「いきなりプレッシャーきついっすよ。凛斗さん追い抜くなんて、夢のまた夢―――」

そこまで言うと、一樹さんがパシッと千尋さんの頭をはたく。

「そんな弱気でどうすんだよ。やるからにはトップ目指せって。あ―――で、唯菜ちゃん、ちょっとこっち来てくれる?」

そう言って優しく微笑む一樹さんに。

あたしは緊張しながらも着いて行った・・・・・。