私と彼の関係

 放課後、宮野君と待ち合わせをしている公園に行くと、すでに彼の姿があった。


「里崎さんを見たよ。可愛い子だったね」


「可愛いって言えば可愛いんだろうけど。あいつは妹みたいなものだからな」


 そのとき、彼の表情が優しくなる。


 昨日、見た笑顔だった。



 私に対しては意地悪で、他の人に対しては嫌味なほど愛想がいい。


 親に対しては素っ気無い。でも、彼女に対しては見守るような優しい態度を取る。


 そのどれが宮野君なのか分からなくなる。


 でも、一緒にいるときはあの子に会いたくない。


 夢から覚めたように現実を突きつけられるから。


 そう思ったとき、目の前で綺麗な髪の毛が風になびいていた。


 彼女は睫毛を何度も震わせこちらを見る。


「渉?」