「本気なんだけどさ」


「そうやってからかっているだけじゃない。反応を見て」


「俺ってよほど信用がないわけね」


「当たり前。昨日だってキスするみたいな素振りしてきたし」


 彼は意外そうな顔をして私を見る。


「別にしてもよかったんだけど」


「嘘ばっかり」


 もう彼に遊ばれて反応をしたりしないから。


「じゃあ、君にしていいんだ」


「できるならしてみたら?」


 私の顎を持ち上げるようにつかまれた。


 何かを考えるまもなく、唇に何かが触れた。宮野君の顔がいつの間にか眼前にあった。すぐに唇に感じていた感触もなくなる。


「これで本気だって分かった?」