「そんなんじゃない」


 そんなことじゃない。問題はその後だった。


「宮野君って結構軽いよね」


 好きでもない私に彼女になるかと言ってきたり。


 思い出して、顔が赤くなるのが分かった。


「はあ?」


 彼は明らかに怪訝そうな表情を浮かべていた。


 だが、すぐに口元に笑みを浮かべる。


「昨日のこと、冗談だと思っているんだ」


「当たり前じゃない。あんな風に言ってきて」


 それだけじゃなく、昨日は私とわかれてすぐ知らない女の子と一緒に笑っていた。


 本気で好きと言われたわけではなく、そんなことは分かっていた。


 それでも苛立ってきてしまっていた。