「誰のせいだよ」
彼が私の額を弾いた。
「泣きそうな顔をしていたし。あいつらもうるさかったしで出てきた」
泣きそうな顔をしているとは自分では思わなかったけど、嫌な気持ちが顔に出ていたのだろう。
楽しい時間ではなかった。
わざわざ私のためにそうしてくれたんだろうか。
性格悪いなんて言って悪かったかもしれない。
そのとき、玄関が開く音が聞こえた。
そして、リビングに現れたのはふんわりと優しい髪の毛をした女性。宮野君のお母さんだった。
彼女は目を見開き、私をじっと見ていた。
「渉」
宮野君のお母さんは駆け足でここまで来る。そして顔を引きつらせていた。



