私の両親の転勤が決まった。高校二年という中途半端な時期だったこともあり、私がついていくかどうかということが話し合いになったのだ。


　どちらでもよかったんだけど、私はこの地に残ることになった。


　小さい頃から親の手伝いを当たり前にしていた私にとって、家事なんてたいした問題じゃない。


　一人暮らしといってもそんなに不安は感じていなかったのだ。


　だが、親は親だったんだろう。


　それでも私のことが心配だったらしく、誰か知り合いに日常生活の面倒とまでは行かないまでも、

何かあったときに様子を見てくれる程度は頼みたいということになったのだ。


　親戚もいないこの場所だから、そう親が考えるのは無理もないと思う。


「いいんだけど、挨拶とか行かなきゃいけないんだよね」