「簡単だよ。宮野が相手だから諦めるのに、そのままずるずると別の男と付き合われたら、やるせないからさ。そんな利己的な理由」


 でも、彼を見ていると利己的だとは思えない。きっと私のためだったんだろう。


 彼にお礼をいい、玄関先で別れた。


 鍵をあけ、家の中に入ると、息を吐く。何気なく携帯を取り出して、宮野君を表示する。


 電話をかけて、そんなこと聞いていいんだろうか。


 迷惑じゃないのかな。


 その答えは宮野君しか分からない。


 宮野君をずっと遠くで見ていた高校一年。


 高校二年に親のことがあって、彼と初めて話をした。


 嫌な人だと思ったこともあったけど、優しさがあって、私のことを元気付けてくれたり、勉強を教えてくれていた。


 いろいろな状況と気持ちが心の中で入り乱れ、答えを出すことができなかった。