それを買い、弾む気持ちを抑えながら店を出たとき、あいが私をちらっと見る。


「で、自分で着られるの?」


「何が?」


「着付けとか、髪型とか」


 考えてなかった。


 即答できない私の心境に気づいたのか、あいは苦笑いを浮かべていた。


「いいよ。その日に私がしてあげる」


「でも、その前におばあちゃんの家に行くって」


「飛行機もとってないから大丈夫。そんな優菜を残していけないでしょう」


「ごめんね」


 買ってしまった浴衣を見て、頭を下げる。


「気にしない。その日の夕方にでも行くよ。宮野君とうまくいけばいいね」


 そういってくれた親友の言葉に頷いていた。