私と彼の関係

「あまり会えないから喧嘩をすることもなかったし。わがままを言って困らせたくないから」


 彼女がしっかりしているのはそんなところがあったのかもしれない。


 普通ならうっとおしく感じることも彼女にとっては幸せな時間だったんだなって感じていた。



「小さいころは大変だった?」


「離婚後は渉や、渉のお母さんが私の面倒を見てくれるということになったから、あの家に暮らしていました。中学三年からここで一人で暮らすようになって」


 彼女が当たり前のようにあの家にいたのはそうした事情が会ったからなんだと感じていた。


「ついでに英語の勉強もしていたのも、中学生のときに一緒に行くかって話になっていたから、小学生のころから念のため英会話に通っていたんです。私も一緒に暮らしたくて、必死に勉強をしていたんです。


結局、私をひとりにしておくのは心配だけど、連れて行くのが心配だからって一緒には暮らせなかったんだけど」



 彼女は笑顔を浮かべていた。 


 彼女にとってはつらい記憶だったのかな。


「宮野君は優しかった?」


 私の問いかけに彼女はゆっくりとうなずいていた。