私と彼の関係

「おいしいよ。ありがとう」


 私の言葉にののかちゃんは笑顔を浮かべる。


「よかったです。それ、渉のお母さんにもらったんです」


 彼女は屈託なく笑っていた。


 こんな広い家で子供の時から一人で暮らしていたんだろうか。


 私は性格的なものなのか、あまり一人なのを気にしたことがないけど、それが長年続くと変わっているのかもしれない。


 彼女の力になりたくてこう言っていた。


「たまに私の家にでも遊びに来てよ。私も一人暮らしだし。あまり料理は上手ではないけど、よかったらごはんでも食べに来ね」


 彼女は肩をよせ、目を細めていた。


 そんな風に笑うと、すごくかわいい。


「先輩もよかったら遊びに来てくださいね。お父さんは少しいて、またすぐに戻るみたいですから」


 彼女は少しさみしそうに笑っていた。


「お父さんと仲がいいんだね」


 私くらいの年だと父親と仲が悪いなんて話も聞くけど、ののかちゃんにはそういう気配は全くない。