「何かあったの?」


「小さいとき、いつもいじめてきたんですよ」


 彼女は何かを思い出したのか、頬を膨らませて怒っていた。


 でも、この子も振りのことは知らなかったんだ。


「いじめられたら私に言ってくださいね。仕返ししますから」


 彼女の言う仕返しって、彼女が言っているからか、グーでぽかぽか叩いているイメージだ。


 可愛い。


 でも、そんな彼女にとってはそれも真剣なことで、


 まっすぐな瞳でそう口にしてきた。



 昨日、宮野君と一緒のときに彼女に会いたくないと思った自分の醜さを思い知らされるような気がした。


 悪いことを考えてしまったと思う。


「私、変なこといっちゃったかな」


 彼女は戸惑いながらそう言ってきた。


「そんなことないよ。ありがとう」


 できるだけ彼女の思いに応えたくて、笑顔を浮かべていた。