「で、こんな時間まで残業してる原因は?」

首を伸ばして隣から私のパソコンの画面を覗きこんだと思ったら、突然私の方に振り返ってきた。

か、顔が近い…ッ!

「これ、もしかして明日期限の資料?」

ひとり慌てふためく私をよそに、伊藤さんがまっすぐ私を見て言った。心なしか、声のトーンが少し低い。

う。やっぱり仕事ができない駄目な後輩だと思われたかな。
私だってこんな予定じゃなかったのに。

「あの、すみません。色々考え事してたら進まなくって」