思いっきりサイダーを振って、ぶちまけたくなった屋上。

甘すぎる希望を持つ私には、サイダーくらい刺激のある物を頭からかぶって、現実を見た方がいいんじゃないか。

白い太陽をみつめて、ペットボトルに口をつける。

睫毛にひかっかた光の粉に目を細めた私の喉に流れていくサイダーは、温くて。

抜けきらない炭酸は私を現実には戻してくれなかった。

いつまで、漫画の主人公のような気分でいるのだろう。

やめたいと思う。
甘くて、切ない。
なんか要らない。
甘い、だけが欲しい。

それが無理だというのは、ずっと前から知っているのに。

こう考える自分も、どこか漫画の主人公のようで、いっそ本当に漫画の中に閉じ込めてもらったほうがいいんじゃないか。

「消えちゃえ」
自分。

「消えちゃえよ」
自分。

屋上の手摺りにお腹が圧迫される。

ぐっと身を乗り出して見下ろした地面は駐車場だった。

汚いな、と思いながらもサイダーを口に含んで、吐き出してみる。

案外、つまらなくて。
別に楽しくなんかなかった。