「好きだなー、あの子」

どこかホッとしている自分がいた。

ちょっと話しかけられただけ。

友達だなんて思っちゃいけない。

ドアを開けるとグループの人達(彼女をのぞいて)は振り向いて、やばいというような顔するのが見えた。

グループの中心にいる人物は平然と鏡を片手にグロスを塗っている。

私はいつもどおりに席に座って、カバンを机の横にかけるついでに文庫本を出した。

本の上からのぞいている、しおりのリボンをたよりにページをめくっていると、

「おはよう!」

彼女が私の机の前にしゃがみ込む。

「…おはよう」

はらりと節分草のしおりが落ちていった。