珍しいな、と思った。
私に話しかけてくる人は、たいてい、宿題見せてとか、掃除当番かわってとか、そんなことばかり。

顔を上げて彼女を見ると、見た目は地味でもなく派手でもなく、その中間といった感じ。鎖骨までの髪が緩く巻かれている。

「その本、おもしろい?」

その表情から、同時に聞いてますか、ときかれている気がした。

「あー、うん」

曖昧な返事に小さく笑いながら、机の前にしゃがむ。

それから、たいした話も浮かばず、私は本をめくった。