あたしは教室に早く入りたくて、走って来たのに、先にアイツがいた。

アイツは表面上は爽やかイケメンだった。

窓際で外の桜を見ていて、あたしが入って来たことに気付くと、ゆっくりと振り返った。

「あっ、はじめまして。一番乗りしたのね。早いわね」

息を切らしながらも、あたしは笑顔を向けた。

アイツは最初、無表情だった。

けれどいきなりズンズン近付いてきたかと思うと、あたしの頬を手で包んだ。

「えっ…」

「キミ…ボク好みの顔しているね」

キレイな声に、心臓が高鳴った。

「ええっとぉ」

「おもしろい顔をしている」