「そう思っているのは多分、あなただけだと思うわ。あなたに会って、正しくは再会して、あの子は変わったと思う。あなたのことが本当に大切なのだと分かったの」

 彼女は言葉を切ると、自分のコーヒーを口に運ぶ。そして、目を細めた。

「あの子には秘密にしておいてね。あの子は別に転校したってかまわないと言っていたのよ」

「そうだったんですか?」

 彼女は頷く。

「大学はあの大学に拘る必要もないから、って。あの子は様々な事情を分かったうえで、引っ越して構わないと言っていたの」

 木原君であればそう言うだろう。だが、彼女の告げた真実は一つだけ私の記憶と違っていた。彼は地元の大学に行きたいから残りたいと言っていたのだ。