「雅哉はタイミングを見失って渡せなかったって言っていたよ」

 私はそのチェーンのネックレスに視線を落とす。

「あいつは心配になるくらい不器用だから。君に大学の話をしなかった詳しい理由は詳しくは分からないけど、志望校を変えて遠くの大学に行きたいと思ったのを君だけには言えなかったんじゃないかな。

あいつが初めて好きになって付き合った女の子だったから」

「でもそれはお母さんのことがあったから誰とも付き合えなかったんだと思います」

「母親のことはゼロではないと思うけど、それでも他の誰でもない君だから好きになったし、つきあった。それってどういうことか分かる?」

 私だったからなんて今まで考えたことがなかった。

「だから、君はもっと自惚れていいし、君は自分も、雅哉も信じてみていいと思うよ」