一馬さんは腰を落とすと、私と目線を合わせてくれた。子ども扱いされている気がするが、その目はすごく優しい。

「雅哉は君に会って変わったよ。母親のことに限らず泣き虫だったけど、あいつはあまり泣かなくなった。さすがに君との約束は果たせないと小学校に入るくらいには気づいたみたいだけど、ずっとあいつは君に会いたがっていたんだ」

「でも、あんないい加減なことを言ったのに」

「あのときの君は心からそう望んだのだろう?」

 私は頷く。

「建前じゃない本心ってすぐに分かるから。その気持ちが嬉しかったんだと思うよ。高校で君に再会しても、一緒に暮らし始めてもなかなか話しかけられなかったみたいだけどね。

だから、奈々さんに頼んで、アルバムを君の家におくってもらったんだ」