幼稚園のとき、お母さんの絵を描いた記憶がある。でも、そこに描かれた女性は母親には見えなかった。むしろ、男の子と同じ背丈のようにみえる。

「奈々さん?」

「それは君と雅哉だよ。あいつの母親が出て行って、すぐに幼稚園の母の日があったんだ。幼稚園の先生は父親の絵を描けばいいと雅哉に行ったのに、雅哉はお母さんがいないからお母さんができるようにお願いしたときの絵を描いたって言っていたよ」

 私の脳裏に恥ずかしい記憶が蘇る。

「適当なことを言ってしまって悪かったと思っています」

 形としてここに残ってしまっていたことに申し訳ない気持ちでいっぱいになってくる。私は本当にいろいろかき乱してばかりだった。