木原君の部屋に入ったのは初めてだった。ここで彼は幼い日々を過ごしていたんだと思うと、恥ずかしいような、懐かしいような気持ちが芽生えてくる。

「昨日、敦から電話がかかってきてさ。いろいろ頼まれたんだ」

「野木君から?」

 私は彼と野木君に面識があったことに驚いていた。

 一馬さんは頷いた。

 彼は箱からまるめられた画用紙を取り出した。その端は少しよれている。それを広げ、私に渡す。それは線と点で描かれた女の子と男の子の絵だった。髪の毛の長さや背格好から子供の姿だと分かる。

「これって何?」

「母の日に雅哉が描いた絵」

「母の日?」