「由佳ちゃんって、昨年の夏に俺の母親にあれこれ喋ったらしいね」

 その言葉に返す言葉もない。うまくいったから良かったとはいえ、最悪百合と一馬さんの関係も壊れていた可能性だってある。

「分かりました。行きます」

 私たちは改札口をくぐると、その足でちょうど入ってきた電車に乗る。電車の中は早い時間であるからか、席もまばらにしか埋まっておらず閑散としていた。そのことにほっとし、電車の扉が蒸気音と共にしまる。

 一番手前の四人で座ることのできるタイプの席に座ることにした。一馬さんは私の斜め向い側に腰を下ろす。

「さっきの続きだけどさ。感謝しているから。本当に」

「そんなこと早く言ってくださいよ」

 私は頬を膨らませ、彼を睨んだ。