「初めて会ったときさ、君のことなんてバカな子なんだろうって思った」

「コンタクトの話?」

「そ。授業に遅刻してまで、見知らぬ奴のものを必死に探して。その後、遅刻の罰で用具の後片付けをさせられると分かっていたはずなのに」

「困っていたから。コンタクトは高いし。別に体育に遅刻しても怒られるだけですむけど、壊れたら困るから。もっとも探していたときは体育のことさえすっかり忘れていた」

 そんなの誰が考えても分かるほど、簡単なことだった。

「君は自分が満足するなら遅刻しようがお構いなしだし。北田のこともまあよくやるなとは思ったよ。他にも君の噂はいろいろ聞いたことある。やっぱり君はバカだし、それにおせっかいだと思うよ」