「私は木原君のことなんてなんとも思ってない」

「じゃあ、試しに俺と付き合う?」

 私は彼を見た。

 彼は真っ直ぐ私を見据えていた。

 その言葉に私の心が震える。だが、その疼きはすぐに収まっていた。彼のことは好きだと思う。でも、それは木原君を好きな気持ちとは明らかに違う。

「ごめん」

 熱くなった目頭から涙が落ちないように注意を払い、何とか声を絞り出す。