「鍵は返しておくから、靴でも履いていろよ」

 私は彼の言葉にうなずき、自分の靴を履きかえる。いつの間にか古くなったローファーを見て、息を吐いた。

 野木君が戻ってくるのを待ち、一緒に昇降口の外に出る。

 冷たい風が流れてきた。私はマフラーを結び直す。もうすぐクリスマスだ。

「旅行先、決まった?」

「うんん。まだ。私に決めろって言われちゃった」

 野木君は私の言葉に笑っていた。いつの間にか彼の髪の毛も風のせいで毛先が不ぞろいになっている。

「楽しい旅行になるといいな」