野木君と最近、よく話をするからか、木原君が私の家を出て行ったのは私達がつきあっているからだという噂もあった。

 すぐに立ち消えになったが、よからぬ噂に彼を巻き込んでしまったことが申し訳なかった。

 窓から入ってくる頼りない光に導かれ、私達は階段を降りる。

「北田たちが心配していたよ」

 私は頷き、一段下る。

「心配させないようにしているのにね」

 私は彼の言葉に苦笑いを浮かべる。