「まだ残っていたんだ」

「いろいろとね。もう帰るなら、一緒に帰ろうか」

「そうだね」

 彼の言葉にうなずき、窓を閉める。

 私たちは教室の戸締りをすると、帰宅の途につく。

 鍵は先に彼が取ってしまい、私は先に教室を出る。

 廊下はがらんとして、冷たさだけが漂っている。

 すぐに野木君が出てきた。彼が鍵を閉めるのを確認し、私たちは教室を離れることにした。