「木原君も知っていますから」

 彼は呆れるというよりは反論はしなかったという感じだった。そして、彼と途中まで一緒に来ると、近くで別れた。

「君が何を言いたいかは分かるよ。百合に告白しろってことだろう。雅哉にも言われたよ。最近、由佳ちゃんたちの間ではお節介が流行っているの?」

 木原君が彼に直接はなしをしてくれるとは思わなかった。単純にその言葉に驚きを隠せない。

「百合のことはやっぱり、好きなんだと思う」
「じゃあ」

 彼は首を横に振った。

「でも、やっぱり母親には幸せになって欲しいと思うから。百合を忘れるいい機会だと思った。だいたい望みがないのに十年以上片思いをしているのがおかしかったんだって思うよ」

 そんなことないと否定しようとした私の言葉を彼が打ち消す。