彼女が瞬きをして、その長いまつ毛が揺れる。

 彼女はお母さんではなく、女の人という表現がしっくりと来る。

 木原君のお母さんが私の肩に触れる。

「この子が雅哉の彼女の田崎由佳さんよ」

 彼女はその言葉に笑顔で応えるだけだった。もっと悪人らしい印象を受ければ、どんなに楽だっただろう。そこにいた人は彼を捨てた悪人には到底見えなかった。

「何か食べたいものはある?」

「大丈夫よ」

 その声は低く、かすれていた。