206[短編]

「もしよかったら寄っていきません?」

 この前は確かになかった206号室。

 だが、今は少し視線をずらせば目の前にある。

 だが、それは本当は存在しないはずの場所だった。

 そして、その場所に存在している彼女と、その通路と部屋。

 この辺りで起こっている典子と同世代の女性の失踪事件。

 この部屋はどこにあるんだろう。

 彼女は何者なのだろう。


 失踪事件は単なる偶然なのだろうか。

 そして、自分がどのような行動をとるべきか、必死に頭の中で模索する。