206[短編]

 家を出たとき、典子の頬に冷たいものが触れる。

 天を仰ぐと、空には冷たい雨が叩きつける。

 傘を開くと、その天気にため息を吐き、夏江の家に向かった。

 彼女の家の階段をあがり、二階に行く。

 二階の通路に立ち、前方を眺めたとき、典子の顔から血の気が引くのが分かった。

 夏江の部屋の先にこの前と同じように通路がある。

 そして……。