誰か…



その誰かが誰であるかは

とっくに気付いていた。



認めたくなくて、

負けたくなくて、

失いたくなくて・・・



強がった。





もっと早く鈴子と向き合っていれば、

逃げていなければ…



失わずに済んだかも知れない。





そんな後悔が俺を苦しめた。


その苦しみは、野球をすることでしか消せなかった。



他の女の子に興味を持つことも、

鈴子を吹っ切ることもできない俺は

ただ、がむしゃらに・・・投げ続けた。



大好きな鈴子に見て欲しくて…


俺の姿だけを見て欲しくて…