俺は花火のせいで、
抑えてた気持ちが止められなくなった。
正直、自分の初恋に気付いてから、混乱してた。
野球だけに集中したかったのに、どうしても頭の中に鈴子が現れて辛かった。
忘れよう、諦めようと思えば思うほど、俺の中で鈴子の存在が大きくなっていった。
今日も来るつもりはなかった。
会いたくなかった。
浴衣姿の鈴子を見て、また好きになるのが怖かった。
どうして来てしまったんだろう・・・
変な負けず嫌いの性格のせいか、隆介が行くと聞いて、俺は行かなきゃ後悔するって思った。
行っても行かなくてもきっと、後悔する。
それなら、ぶつかってみよう。
鈴子の気持ち、確かめようって…
花火のおかげで勇気が出たよ。
歩きながら、足元がフラフラする鈴子は俺の袖を掴んだまま。
いいよ。
ずっと俺を掴んでて。
一生、俺の袖、掴んでてくれよ…
「鈴子、俺さ・・・」