「悪かった・・・ 鈴子のこと避けてて。」


健太の浴衣の袖が私の手に当たる。



「私こそ、ごめんね。」


こんな雰囲気は初めて。

いつも冗談言ってばかりの健太。


笑ってばかりいた私達。




「隆介のこと、好きなの?」


単刀直入な質問に、動揺を隠せない。

目が泳ぐ私を見て、健太は優しく微笑んだ。



だんだん近付くお好み焼きの匂い。

石ころを蹴飛ばす健太。


「お前、正直だな。バレバレじゃん。」


健太は、腰を前に曲げて私の顔を覗きこむ。




やだ。

誤解だよ。



誤解じゃないけど、誤解だよ。



隆介も好きだけど、健太のことも


好きなんだよ!



「違うって!!誤解しないで!」


健太は何を言っても、笑ったまま。



その時、




ドドーーーーーーーン!!!!






後ろから聞こえた花火の音。




振り返った私と健太の目に映ったのは

大きな大きな真っ赤な花火だった。