ずっとずっと鈴子だけを見ていた。 鈴子のおかげで、俺は野球に夢中になれた。 後悔はない。 恋も野球も、俺は精一杯やった。 「鈴子…もう俺だけを見てる?」 俺の質問に、鈴子は申し訳なさそうな顔をした。 手の中のボタンをぎゅっと握り締めた鈴子が言った。 「うん。もう健太だけを見てるよ!」