マウンドに集まる相手チーム。


輪になって、甲子園行きを喜び合う姿。




あれは私のチームじゃないんだ。



本当はあそこに私達がいるはずだったのに…



悔しい気持ちと、みんながかわいそうだという気持ちで

どうしようもなく、辛かった。



誰も動かなかった。


最後の白球の行方をじっと見つめたまま、止まっていた。



あと一歩。

あと一歩で、夢が叶うところだった。




ここまで来ることができて、それだけでも十分。


そんな風に思うことはできなかった。




行かせてあげたかった。



甲子園のマウンドで

堂々と投げさせてあげたかった。




あの場所に立つ健太が見たかった。


健太のストレートに甲子園の観客が酔いしれるはずだったんだ。