右手から落ちたボールが石畳の上を転がる。 俺は、鈴子の背中を抱きしめていた。 「あ…ごめん!」 すぐに我に返り、鈴子から離れた。 自分で自分の行動が理解できない。 今、俺はどうして 鈴子を呼び止めたのか… 「話、聞くよ」 さらさらの髪が風になびく。 石畳の上に体育座りをした。 松の葉は深い緑色をしていて、躍動感がある。