自分から手を離してしまった。




もう戻れないけど…

今だけ、昔に戻らせて。




優しい健太の笑顔。




『鈴子好きだよ』って何度も言ってくれた健太。






「鈴子、好きだよ」




え…





今、健太…






ミシミシとなる旅館の床。



抱きしめる腕を強くした健太が「好きだ」と言ってくれた。





夢じゃない?




あんなにひどいことをした私を

健太はずっと思い続けてくれていたってこと?