~鈴子~



高校一年の夏。



放課後の教室に静かに響くすすり泣き。






淡いオレンジ色のカーテンの中で流した涙は

今も心に残る痛み。





彼女がいると知った。


野球部のマネージャーになって、最初に話しかけてくれた人。


みんなから怖いと噂されてたクールな人。




放課後ボール整理をする私に

「おつかれ~!はよ、帰れよ~!」


重そうな鞄を肩から下げて、横目でチラッと私を見た。


冷たいような

寂しいような

忘れられない目だった。



まだマネージャーとしても半人前の私に、優しく声をかけてくれた人。



【矢野隆介】



背番号 10



期待の一年生ピッチャー