私は、昔からあまり自分から行動するタイプではない。

いつも誰かにくっついて行って誰かのやる事を一緒にやる。

そんなタイプの子。

そんな私が、今、まさに一人で決めた事を一人でやろうとしている。


私は今、あの喫茶店の前にいる。


いざここまで来てみると緊張でドキドキして、やっぱり帰ろうかと躊躇してしまう。

でも、この扉を開けたら何かが変わる。そんな確信があった。

亜由美の事を知りたいというのは言い訳で、実は自分をどうにかしたかったのかもしれない。


私は木製のドアに上品に付いている真鍮のノブに手をかけた。

そして、そのノブを下に押して思いっきり手前に引いた。