彼は時計を見た。



そして立ち上がり、


上着のポケットに手を入れた。



もう、二度と彼には会えなくなる。



「春菜、今までありがとう。愛してる」



そう言って彼は私の前から消えた。



私はどうすることも出来なかった。



ただ、心の中から溢れ出す感情と



一番大切なものを手放してしまった



悲しみの涙を



必死で耐えることぐらいしか………