「俺、前に言った。夜深って綺麗な名前だなって」




ーー夜深って綺麗な名前だな。夜が深いって書いて夜深。




「知ってる?名前って親が子供に一番最初にくれる愛情なんだよ。」




親が……最初にくれる愛情?




「唯人君はそうかもしれないけど、私の名前のどこにそんな要素があるの……」



「きっと意味があるよ。俺は夜深の名前はすっげえいい名前だと思うよ。」



唯人君はそう言って微笑んだ。




「…何か……唯人君はすごいよ」



「は?何で?」



「だって、唯人君に言われると、本当にそう思っちゃうもん。」



「本当だからだよ!!俺は夜深に嘘はつかないよ。」



「ふふ。嘘よ。」



「本当だって!!」



「ふふふ。」



「信じてないだろ。」



「ううん。嬉しいだけだよ。」




私はクスクスと笑って唯人を見上げた。




「唯人君、私……」



「ん?」



どくん どくん




「あのね……」



どくん どくん どくん