確かに、ぼーっとしたのは唯人君が原因だけど



「私、気にしてないから…」




だから…



だから





「そんな悲しい顔…しないで?」




私はさらに強く唯人君に抱きついた。




「…夜深は優しいな……」




「ふふっ…また優しいって言った…。」



「だって、優しいんだから言うよ。かわいいし優しいし、本当、天使みたいだ。」



「…唯人君だけだよ。天使なんて、言ってくれるの。私、そんなんじゃないもの。嫉妬だってするし…」



「夜深に嫉妬されるなんて俺は幸せものだよ。天使みたいでも、夜深は人間なんだから。」



「…ありがと……」




唯人君は私を“優しい”なんて言うけれど、優しいのは唯人君の方だよ。



私のドロドロした感情を、その優しい声と笑顔で流してくれるの。




唯人君はよく似ている。



あの男の子に……