声を出したいけど、口の中がカラカラに渇いてしまっている。




『……夜深?』



唯人君の声が、耳に響く。




『夜深、何かあった?』


「………」



『夜深?……今どこ?』


「……」



『今から帰るから。部屋から出るなよ?すぐ行くから!!!』




何も言えなかった私……



あんなに大好きな唯人君の声なのに……




“話したくない”




一瞬、そう思ってしまった。




私…



最低だ。



最低……だ…




こんな醜い私…




やっぱり、幸せなんてこと



願っちゃいけなかったんだ。





私は窓に移動し、薄暗くなった空を眺めた。




ごめんね……



唯人君…




私はスウェットに着替え、鍵を開けたまま部屋を出た。