蝉の恋

「ばれんなよ~。」

携帯を放り投げた白い背中を眺めながら言葉を放る。

「あたしは大丈夫だって~ 。」

まぁ偽装工作は大丈夫だとは思うが…。

「それよりそっちは大丈夫なの?修羅場なんて二度とやだからね。」

サヤは以前に関係のあったセフレとホテルに入る所を相手の彼女に見つかり、酷い目にあったらしい。

「万が一もバレねえよ。

仮にバレたとしてもお前にゃ迷惑かけねぇから安心しろ。」

絶対にバレない様に対策は立ててある。

それがルール。

ばれるような阿呆はセフレなんか作る資格はない。

「ならいいけど…さっ。」

サヤは言葉と同時に俺の上に飛び乗ってくる。

力を抜いていた腹に与えられた衝撃に思わず、グェ、なんて声が出そうになった。