蝉の恋

「今年で三年目かな。」

三年目、そういえば三年目の浮気くらい多目に見ろ、なんて歌詞の古い歌があったな。


「結構長いね。」

そうか?と相槌を打ちながらお代わりのビールを空ける。

「別れるの?」


「これから……次第かな。」

俺が決めることじゃねぇし。

そう続けた。

…俺が決めることじゃない。アイツと二人で決めることだ。

「そう。」

目の前の女は何故か少し寂しそうに笑った。


「お前みたいなのだったらよかったのにな。」

目の前の女は意味が理解できないのか少し首を傾けた。

「アイツが…。少しお前みたいだったら…」

「だったら?」


「浮気してもばらさなかっただろうにな。」

オイ、オイ、アタシは未遂だよ。なんて言っていたが、その当時、端から見ていたら心は彼氏とは別の人間に向かっていた。